議会質問

加賀市2025年12月議会で一色眞一議員が行った討論を掲載します

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日本共産党の一色眞一です。私は日本共産党を代表しまして、今議会に上程されました議案のなかで、3件について反対の意思を示し、討論に参加します。

議案第71号令和7年度加賀市一般会計補正予算についてです。

今回の補正予算は、前市長が手掛けた大型事業を引き継いでおり、これが重く足かせになっているところに問題があります。今後の加賀市財政圧迫のひとつにならないか危惧するところです。また、今回の補正予算には触れてはいませんが、加賀温泉駅前広場施設も将来の加賀市財政に大きな負担となることが先の一般質問で明らかになりました。しかもこの施設は利用料も提示されていませんし、使用形態も具体的に示されておらず、イメージだけが先行している感があります。それから、物価高対策も不十分であり、補正予算を見る限り、物価高で大変な思いをしている市民の生活実態とはかけ離れたものであり、この補正予算は反対です。

次に、議案第81号 加賀市乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定める条例についてです。

国は、子育て支援の一環として「子ども誰でも通園制度」を2026年度から本格実施するとし、今回の条例化となりました。

 この制度は保護者の就労を問わず、保育所などに通っていない生後6か月から2歳の子どもを対象に、月に10時間まで、保育所や認定こども園で預かりを行うというものです。

 この条例では、設備運営基準が定められており、加賀市は国の基準を一部上回るとしていますが、現行の保育基準と同等です。

 配置基準については現状でも、保育士が、休憩時間、職員会議、休んだ職員をカバーできない、能登半島地震を目の当たりにし、保育中に地震が起きたら子どもの命と安全を守れるのかと、現場は危機感を募らせています。

 やりがいはあってもその厳しい環境と処遇の低さが理由となり、保育士資格を持ちながら、働いていない保育士は有資格者の6割を超え、現場は常に人手不足です。

 そこに、新たな子どもが短時間、日替わりで来るとなれば現場の負担はさらに増えます。アレルギーや発達状況など必要な情報が把握されず命にかかわる事故が起きかねません。慣れない環境に置かれる子どものストレスも懸念されます。

 しかも、保護者と事業者との直接契約で実施され、公的責任が後退することにつながりかねません。

 まずは保育士の処遇改善と配置基準の抜本的改善、公的保育の拡充にこそ力を入れるべきですし、親の就労にかかわらず子どもを受け入れる環境をつくるというのなら、公が責任を持って保育施設や体制を整えるべきです。よってこの条例に反対します。

次に、84号加賀市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について

2016年4月、山中温泉ぬくもり診療所が開設し、2020年6月に診療所指定管理公募案内があり、萌和会と地域医療振興協会の2社がプレゼンした結果、地域医療振興協会が指定管理者に決まるという経緯があります。

その後、2024年度の医療審議会が「山中温泉ぬくもり診療所の指定管理を終了し、加賀市病院事業に編入する」という答申が出されました。

しかし、その内容は以下の理由のように、受け入れがたいものであります。

1つ目に、当事者(ぬくもり診療所の患者や職員・地域医療振興協会)不在のまま議論が進められています。同診療所を加賀市病院事業に編入させるとの答申ですが、医療審議会の中に、加賀市病院事業関係者が居れば、自己の利益を目的として、審議を進めていた可能性もあり、いわゆる利益相(りえきそう)(はん)に該当すると考えられます。2つ目に指定管理を外す理由が明確ではありません。

「山中温泉ぬくもり診療所の赤字経営が続き、改善の見込みがないので継続は困難だ」という議論が長くされてきましたが、2024年度の第2回の会議において、赤字については地域医療振興協会が負担しており、加賀市は赤字補填をしておりません。その後もぬくもり診療所の継続が困難である理由について、議論は深められておりません。また、建物の維持管理を加賀市がおこなうということも議論されてはおりません。加賀市病院事業が引き継いだとしても維持管理にかかる負担は同じです。地域医療振興協会が運営継続困難だと言ってはいないし、指定管理を外す理由が全く不明です。3つ目に、委員全員の意見が反映されておりません。山中温泉ぬくもり診療所の機能縮小・閉院・加賀市病院事業への編入を主張しているのはごく一部の委員であり、別の委員からは地域医療振興協会の運営継続でも良いのではないかと意見もありましたが、無視されています。

4つ目に医療審議会の会議の質や委員の質が問題です。

山中温泉ぬくもり診療所の経営収支や受診者数だけで、存続困難かどうか議論されていますが、実際に診療所に足を運んだ委員はわずか数名であり、ぬくもり診療所の現実を知らない人たちによって、議論されてきました。

加賀市の医療を守るための医療審議会であるならば、収支や患者数だけでなく、医療の質についても議論すべきと考えます。経営状況だけを議論している委員は医療審議会のメンバーとしては不適です。

5つめに通院患者さんに寄り添えていないことです。

この地域の患者さんにとって、身近で総合的かつ継続医療が重要です。特に、山中地域は高齢化が進行しており、通院困難となっている方が多いと聞きます。

なにより、リハビリ機能を備えた温泉プールは治療や健康づくりとして、長く愛されてきた施設です。

このように今回の答申は加賀市の医療の質を高めるために議論されてきたのか甚だ疑問が残ります。こうした経緯からこの条例には多くの問題点があり、反対するものです。

以上、市民本位の市政運営にあらためることを強く求めて討論を終わります。

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