台湾有事に関わる発言の撤回を求める意見書
高市早苗首相は11月7日の衆院予算委員会で、台湾に対して中国政府が「戦艦を使って、武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうる」と発言した。
これは、集団的自衛権を行使し、日本が直接攻撃を受けていないのに、米軍とともに中国に対し武力行使を行う可能性を政府として認めた重大答弁である。
歴代政府は、台湾有事と「存立危機事態」の関係について「個別具体的な状況に即して総合的に判断する」(2024年2月2日の参院本会議、当時の岸田首相)などと特定の地域を明らかにするのを避けてきたのが従来方針であり、今回の高市首相の発言は政府方針からも逸脱する、軽率なものと言わざるを得ない。
高市首相の発言によって日中関係が極度に悪化し、深刻な国際問題に発展するもとで、前向きの打開をはかっていくことが求められている。それは、日中正常化に伴う1972年の「日中共同声明」、78年の「日中平和友好条約」、98年の「日中共同声明」を踏まえ、2008年の日中首脳の「共同声明」に明記された、日中の「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との立場にたつことであり、ましてや「危機」をあおり、大軍拡の口実にすることは極めて問題である。
よって政府におかれては、悪影響を受けている観光業界や自動車業界などにも鑑み、今後の日本の不利益を拡大させないためにも、台湾有事に関わる発言の撤回を強く求めるものである。
以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出する。
労働時間の規制緩和に反対する意見書
高市早苗首相は政権発足直後の10月21日、厚生労働相に対し「心身の健康維持と従業員の選択を前提に」としつつ、「労働時間規制の緩和の検討を行う」よう指示した。
日本のフルタイム労働者の労働時間は欧州に比べ年間300時間程度も長く、「過労死」が後を絶たない。2024年度の業務の負荷による過労死は、脳・心臓疾患による死亡67件、精神障害による自殺88件にのぼる。
しかも2018年には労働基準法の法定労働時間「1日8時間・週40時間」に抜け穴がつくられ、残業時間の上限は特別の事情がある場合、労使協定によって「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」と過労死水準にまで容認された。
公労使三者で構成される労働政策審議会では、財界代表が、労使合意によって労基法を適用除外できる仕組みづくりや、労働時間の規制を受けない裁量労働制の対象業務の拡大を求め続けているように、労働時間の規制緩和は財界の要請に応えるものと言わざるを得ない。
賃上げとともに、まともな生活時間、自由な時間が欲しい、これが働く人の声である。抜本的な労働時間短縮は、個人の自由な時間を確保して多様な暮らし方を支え、個人消費の増大による健全な経済発展にもつながるものである。
よって政府におかれては、労働者と家族の命と暮らしを守るため、労働時間の規制強化で、残業など異常な長時間労働を解消し、大幅賃上げと一体に、1日7時間・35時間労働制の実現などを強く求めるものである。
以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出する。
衆議院の定数削減を行わないよう求める意見書
自民党と維新の会は、「衆議院議員定数の1割削減」を「連立の絶対条件」として強引に進めようとしている。
しかし、国会議員の定数のあり方は、国民の代表をどう選ぶかという選挙制度の根幹をなす問題である。選挙制度は民主主義の土台であり、国民の参政権そのものであることからも国民的議論が欠かせない。
現行の衆議院小選挙区比例代表並立制は小選挙区が中心で、1人しか当選でしない小選挙区は多数の「死票」を生み出すことになる。削減の対象は比例代表と言われるが、比例削減は多様な民意の議席への反映をいっそう困難にし、少数意見や少数政党の排除につながり、国会の最も大事な役割である政府や行政を監視する機能が弱められることになる。
すでに衆議院の定数は465にまで削減され、戦後80年で最も国会議員が少ない水準となっており、国際的にみても日本の議員数(人口100万人当たり)は、ОECD(経済協力開発機構)加盟38か国の中で36番目の少なさである。
よって国におかれては、歴史的にも国際的にも日本は議員が少ない国となっているもとで、民意が届かなくなる議員の定数削減を行わないよう、強く求めるものである。
以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出する。
「物価上昇以上の年金引き上げを」求める意見書
長引く物価高騰が国民の生活を直撃しています。「食費や電気代を節約してきた。もう削るものがない」という状況です。
特に、老齢基礎年金のみだと満額でも月6万8千円程度です。年金だけで生活している高齢者は命に係わる問題となっています。国民すべての高齢期の生活を支えるため、公的年金の抜本的な改善が必要です。現在の年金制度では老後を安心して暮らせる制度とはなっていません。
現状の年金制度を見れば、今年の年金改定でも物価上昇に追いついておらず、実質マイナスが続いており、これは物価や賃金が上昇してもマクロ経済スライドが年金額の改定を抑制する仕組みとなっているからです。私たちはこのマクロ経済スライドは直ちに廃止することを求めています。
以上のことから国に対し、国民の年金不安をなくし、若者も高齢者も安心して老後を暮らせるよう、公的年金の支給額を物価上昇に見合うよう増額改定することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
意見書の提案理由
令和7年12月議会に以下の意見書を上程しますので、提案理由を述べます。
まず、議会議案第9号 台湾有事に関わる発言の撤回を求める意見書です。
高市早苗首相は11月7日の衆院予算委員会で、台湾に対して中国政府が「戦艦を使って、武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうる」と発言しました。
これは、集団的自衛権を行使し、日本が直接攻撃を受けていないのに、米軍とともに中国に対し武力行使を行う可能性を政府として認めた重大答弁であります。
歴代政府は、台湾有事と「存立危機事態」の関係について「個別具体的な状況に即して総合的に判断する」(2024年2月2日の参院本会議、当時の岸田首相)などと特定の地域を明らかにするのを避けてきたのが従来方針であり、今回の高市首相の発言は政府方針からも逸脱する、軽率なものと言わざるを得ません。
高市首相の発言によって日中関係が極度に悪化し、深刻な国際問題に発展するもとで、前向きの打開をはかっていくことが求められています。それは、日中正常化に伴う1972年の「日中共同声明」、1978年の「日中平和友好条約」、1998年の「日中共同声明」を踏まえ、2008年の日中首脳の「共同声明」に明記された、日中の「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との立場にたつことであり、ましてや「危機」をあおり、大軍拡の口実にすることは極めて問題です。
よって政府におかれては、悪影響を受けている観光業界や自動車業界などにも鑑み、今後の日本の不利益を拡大させないためにも、台湾有事に関わる発言の撤回を強く求めるものです。
次に議会議案第10号 衆議院の定数削減を行わないよう求める意見書です。
自民党と日本維新の会は、「衆議院議員定数の1割削減」を「連立の絶対条件」として強引に進めようとしています。
しかし、国会議員の定数のあり方は、国民の代表をどう選ぶかという選挙制度の根幹をなす問題です。選挙制度は民主主義の土台であり、国民の参政権そのものであることからも国民的議論が欠かせません。
現行の衆議院小選挙区比例代表並立制は小選挙区が中心で、1人しか当選できない小選挙区は、多数の「死票」を生み出します。削減の対象は比例代表と言われますが、比例削減は多様な民意の議席への反映をいっそう困難にし、少数意見や少数政党の排除につながり、国会の最も大事な役割である政府や行政を監視する機能が弱められることになります。
すでに衆議院の定数は465にまで削減され、戦後80年で最も国会議員が少ない水準となっており、国際的にみても日本の議員数(人口100万人当たり)は、ОECD(経済協力開発機構)加盟38か国の中で36番目の少なさです。
よって国におかれましては、歴史的にも国際的にも日本は議員が少ない国となっているもとで、民意が届かなくなる議員の定数削減を行わないよう、強く求めるものです。
次に、議会議案第11号 労働時間の規制緩和に反対する意見書です。
高市早苗首相は政権発足直後の10月21日、厚生労働相に対し「心身の健康維持と従業員の選択を前提に」としつつ、「労働時間規制の緩和の検討を行う」よう指示しました。
日本のフルタイム労働者の労働時間は欧州に比べ年間300時間程度も長く、「過労死」が後を絶ちません。2024年度の業務の負荷による過労死は、脳・心臓疾患による死亡67件、精神障害による自殺は88件にのぼります。
しかも2018年には労働基準法の法定労働時間「1日8時間・週40時間」に抜け穴がつくられ、残業時間の上限は特別の事情がある場合、労使協定によって「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」と過労死水準にまで容認されました。
公労使三者で構成される労働政策審議会では、財界代表が、労使合意によって労基法を適用除外できる仕組みづくりや、労働時間の規制を受けない裁量労働制の対象業務の拡大を求め続けているように、労働時間の規制緩和は財界の要請に応えるものと言わざるを得ません。
賃上げとともに、まともな生活時間、自由な時間が欲しい、これが働く人の声です。抜本的な労働時間短縮は、個人の自由な時間を確保して多様な暮らし方を支え、個人消費の増大による健全な経済発展にもつながるものです。
よって政府におかれましては、労働者と家族の命と暮らしを守るため、労働時間の規制強化で、残業など異常な長時間労働を解消し、大幅賃上げと一体に、1日7時間・35時間労働制の実現などを強く求めるものです。
次に議会議案第12号 「物価上昇以上の年金引き上げを」求める意見書です。
長引く物価高騰が国民の生活を直撃しています。「食費や電気代を節約してきた。もう削るものがない」という状況です。
特に、老齢基礎年金のみだと満額でも月6万8千円程度です。年金だけで生活している高齢者は命に係わる問題となっています。国民すべての高齢期の生活を支えるため、公的年金の抜本的な改善が必要です。現在の年金制度では老後を安心して暮らせる制度とはなっていません。
現状の年金制度を見れば、今年の年金改定でも物価上昇に追いついておらず、実質マイナスが続いており、これは物価や賃金が上昇してもマクロ経済スライドが年金額の改定を抑制する仕組みとなっているからです。私たちはこのマクロ経済スライドは直ちに廃止することを求めています。
以上のことから国に対し、国民の年金不安をなくし、若者も高齢者も安心して老後を暮らせるよう、公的年金の支給額を物価上昇に見合うよう増額改定することを求めます。
以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出いたします。











